研究概要 |
In vitroの実験としてMHV-68に持続感染したマウスB細胞性リンパ腫細胞であるS11細胞、A20HE1細胞、A20HE2細胞をTLR(Toll-like receptorリガンドで刺激し、MHV-68の融解感染に与える影響を検討した。まず、各々の細胞系でTLRが発現しているかどうかを各TLRのmRNAでみた結果、上記3系の細胞すべてにおいてTLR1-9が発現していることがわかった。ついで、上記3系の細胞を細胞表面に存在するTLRのリガンド、Peptidoglycan : PGN(TLR2), lipopolysaccharide : LPS(TLR4),Flagellin(TLR5)で刺激した結果、MHV-68の融解感染には何も影響を与えなかったのに対し、リソゾームに存在するTLRのリガンド、Poly : (IC)(TLR3), R-848(TLR7), CpG ODN 1826(TLR9)で刺激した場合、特にS11細胞に対するTLR7もしくはTLR9刺激によりMHV-68の融解感染が抑制されるという結果を得た。TLR7もしくはTLR9刺激伝達系ではtranscription factor nuclear factor-・B(NF-・B)が活性化されることが知られている。そこでNF-・B活性化抑制物質であるBay 11-7082にてS11細胞を刺激した結果、MHV-68の融解感染が促進されることがわかった。以上の結果から、MHV-68に持続感染したマウスB細胞性リンパ腫細胞S11細胞はTLR7もしくはTLR9刺激によりNF-・Bが活性化し、MHV-68の融解感染が抑制され、持続感染が維持されていることが示唆された。
|