研究課題
1) 頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)細胞における選択的Cox2阻害は,E-cad 低発現細胞では転写抑制因子の発現抑制を介したE-cad発現増強の誘導と遊走運動能抑制を示し,EMTの抑制による抗腫瘍効果を導く可能性が示唆された。舌扁平上皮癌凍結組織標本40例において,癌部では非癌部に比べ有意なCox2発現亢進とE-cad発現低下を認め,後者は多変量解析における頸部LN転移の独立規定因子であった。Cox2とE-cad転写抑制因子の発現亢進およびE-cad発現低下はいずれも舌扁平上皮癌の悪性度と進行への関与が,特に頸部LN転移には癌細胞のEMTの関与が強く示唆された。2) Flt-4発現HNSCC細胞に対するrecombinant VEGF-CおよびFlt-4選択的VEGF-C変異体によるFlt-4 activation,抗Flt-4中和抗体およびFlt-4選択的阻害剤によるFlt-4 inhibitionにおいて,細胞選択的にCNTN-1,VEGF-C自身およびCox2の発現変化が認められ,VEGF-Cにparacrine作用のみならずautocrine作用が存在すること, Cox2の発現調節を介してEMT誘導にも関与している可能性が示唆された。3) 当院で一次治療を行った上咽頭癌32症例の生存分析において,5年疾患特異的生存率(CSS)/無病生存率(DFS)は43.4/34.8%,III/IV期症例では5年CSS/DFS 34.5/29.8%,多変量解析にて全症例CSSでは年齢,T分類,プラチナ製剤の有無の3因子が、DFSではT分類,プラチナ製剤の有無の2因子が各々独立予後因子であった。III/IV期症例ではプラチナ製剤の有無のみがCSSとDFS双方の独立予後因子で,上咽頭癌治療におけるプラチナ製剤併用の優位性が改めて裏付けられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Ann Surg Oncol.
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Nihon Jibiinkoka Gakkai Kaiho
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http://www.keio-ent.jp/kenkyu_04.html