研究概要 |
頭頸部癌の克服のため頭頸部癌「幹細胞」に焦点を当て、その性状と特徴を明らかとすることを目的として解析を行った。本研究では頭頸部癌の幹細胞を簡易に同定するマーカーの同定と幹細胞の細胞生物学的解析を行った。インフォームドコンセントを得た頭頸部がん検体を用いて、コラゲナーゼ、トリプシン、DNase等を使用して腫瘍組織から浮遊細胞を調整した。これら腫瘍塊からサイコロ状に調整した移植片を超免疫不全NOGマウスの皮下に異種移植した。その結果、少なくとも3つの独立した検体において、高効率に頭頸部癌組織が生着することがわかった。次いで、生着した腫瘍をマウス皮下より摘出し、コラゲナーゼ、DNase等で浮遊細胞を調整した。調整により細胞の生存率は極端に低下したが、同細胞を新規にNOGマウス皮下に異種移植すると、再び腫瘍形成が容易に認められた。10代以上の継代が可能であることが判明した。これらの頭頸部腫瘍にはがん幹細胞が高率に含有されていることを示唆する。細胞表面分子X^<high>分画と細胞表面分子X^<low>分画上記分画を採取しNOGマウスに移植したところ、明確な差異を認めた。さらに、Sphere形成能においても幹細胞性の差異があった。一方、頭頸部癌由来細胞株はNOGマウスによく生着するが、幹細胞マーカーとしてCD44,CD24、上記分子等のマーカーでは幹細胞が純化できなかった。以上の結果から、頭頸部癌幹細胞マーカーとして有望な分子を同定したが、普遍的マーカーであるか否かについては、さらに調査解析が必要であると結論した。
|