研究課題
白血球接着分子Vascular Adhesion Protein (VAP)-1は多様な疾患に関わっていることが知られており、腫瘍性病変ではその発現量と生命予後の関係が注目されている。しかしながら、眼科領域における腫瘍性疾患とVAP-1との関連は現時点で不明である。本研究計画は、免疫組織学的手法、分子生物学的手法を用いて眼窩腫瘍におけるVAP-1発現を定量し、VAP-1発現と眼窩腫瘍の悪性度(転移率・再発率)および生存率との関連性を検討することを目的としている。前年度は、眼科領域における腫瘍性病変である節外性B細胞性リンパ腫と化膿性肉芽腫を対象にVAP-1に対する免疫染色をおこなった。その結果、正常結膜組織では血管内皮細胞の細胞質に存在するVAP-1発現が、節外性B細胞性リンパ腫と化膿性肉芽腫においては血管内腔にその発現が認められ、結膜腫瘍の病態形成にVAP-1発現が関与する可能性が示された。今年度は、節外性B細胞性リンパ腫と化膿性肉芽腫組織におけるVAP-1発現をwestern blot法でも確認をおこない、前年度の検討結果を支持する結果を得た。上記検討結果を学術誌Ophthalmic researchに報告し、受理された。また、眼瞼悪性腫瘍として悪性黒色腫を対象にVAP-1に対する免疫染色をおこなった。その結果、血管内皮細胞および間質に存在する細胞にVAP-1の免疫局在を認めた。VAP-1発現と皮膚メラノーマの生命予後には相関があると過去には報告されており、大変興味深い結果である。現在、この間質組織に存在するVAP-1陽性細胞の同定をおこない、本疾患の病態メカニズムにおけるVAP-1の関与を検討している。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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