研究課題
ぶどう膜炎患者の血清について糖鎖解析をおこなった。ぶどう膜炎の原因疾患は、ベーチェット病、サルコイドーシス、フォークト・小柳・原田病であり、その患者背景として年齢、性別、罹病期間、投薬内容、およびぶどう膜炎の活動性について調査し、糖鎖解析の結果との関連性について検討を行った。サルコイドーシス、フォークト・小柳・原田病では有意な変化をしめす糖鎖はみられなかったが、ベーチェット病では、検出された糖鎖27種類中3種類の糖鎖において活動期と非活動期とで糖鎖発現量に差がみられた。また、さらにベーチェット病に関して検体量を増やして解析をおこなった。その結果、抗核抗体との相関が見られる糖鎖はなかったが、CRPの上昇と関連して増える傾向にある糖鎖が見つかった。さらにHLA-B51陽性者では糖鎖分岐部にGlcNAcが結合する糖鎖が増えていることがわかった。また、眼外症状(関節症状、神経症状など)の発現がみられる患者では量が少ない傾向にある糖鎖がみつかった。ぶどう膜炎の糖鎖変動についてさらなる解析を行うため、マウスの実験系で研究を行った。B10.BRマウスをIRBPペプチドで免疫し誘導される自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)では炎症が惹起されるとともに増える糖鎖、逆に減る糖鎖がみられることが判明した。今後はこの糖鎖変動が単に免疫により誘導される反応なのか、ぶどう膜炎特異的にみられる反応なのかを確認する予定である。
2: おおむね順調に進展している
患者血清からの研究ではある一定の成果を得ている。また、マウスEAUの研究も順調に始まっており、糖鎖の変動することを確認できている。
患者血清でのグライコブロッティングの結果をより詳細に解析をおこなう。また、EAUにおける糖鎖変動が単なる免疫反応として得られている物なのか、あるいはぶどう膜炎が誘導されたことと関連がある糖鎖反応なのかを確認する研究を行う。
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