研究概要 |
日本人における緑内障感受性遺伝子同定のために、常染色体2番のGLC1B領域近傍(72~116Mb)の一塩基多型のスクリーニングを行った。第一スクリーニング計368サンプル、第二スクリーニング計400サンプルの後、開放隅角緑内障(POAG)に優位な5多型(p<0.05)、正常眼圧緑内障(NTG)に有意な1多型を得た。POAGに関しては、rs869833近傍の膜貫通型TMEM182遺伝子が病型と相関していること、NTGに関しては、ミトコンドリアでの糖代謝に関係するHK2遺伝子が相関していることを明らかにした。またPOAGとNTGに関与する遺伝子群が異なっていることを明らかとした(PLoSOne投稿準備中)。 グルタミントランスポーターであるGLAST,EAAC1欠損マウスは、眼圧が正常でありながら、視神経乳頭陥凹を示し、正常眼圧緑内障の候補遺伝子である。今回GLASTにアミノ酸変異を伴う変異を同定している。今後、正常眼圧緑内障においてスクリーニングと表現型の相関解析を行う。 次に、緑内障の病型毎の表現型とToll like receptor 4(TLR4)遺伝子の遺伝子型との相関を解明することを目的とした。TLR4は外因性・内因性のリガンドに対して免疫応答を担う膜貫通型受容体で、熱ショック蛋白と相互作用をもつとされる。POAG,NTG,嚢性緑内障(XFG)において、TLR4遺伝子上の8つのSNPをスクリーニングした結果、POAG,NTG,XFGと相関することが示された(Am J Ophthalmol. in press)また、緑内障と同様にcommon diseaseである加齢黄斑変性においてARMS2(LOC387715)翻遺伝子と、XFG遺伝子のマーカーであるLOXL1遺伝子に相関があることを見出した。(Am J Ophthalmol. 2011) このように遺伝子チップ、候補遺伝子解析の両面から解析を継続中である。
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