研究概要 |
高濃度グルコースが網膜神経病変に与える影響を解析するためラットを3次元培養し、GCLにおけるTUNEL陽性率、再生突起数を比較検討した。また、種々の栄養因子を付加し、細胞救済効果・再生促進作用を検討した。さらに細胞死メカニズム解明のためcaspase-9,-3の免疫染色を施行し比較検討した。結果高濃度グルコースはGCLにおけるTUNEL陽性率を増加させ再生突起数を減少させた。また、高濃度グルコースでは正常グルコースに比べcaspase-9,-3の免疫活性が有意に増加した。Caspase-9は培養中細胞質から核に移行していた。BDNF,NT-4,citicoline,VEGF120,VEGF164は高濃度グルコース誘導神経細胞死を有意に救済した。また、BDNF,NT-4,citicolineは再生突起数も有意に増加させcaspase-9.-3の免疫活性も有意に減少させた。NT-4が最も救済効果、再生促進作用が強かった。 次に糖尿病環境誘導神経細胞死にER stressが関与するかをPERK,CHOPの免疫染色を施行し比較検討した。次いでNT-4付加がER stress関連因子の発現に影響を与えるかも検討した。高濃度グルコース、糖尿病ラット網膜ではGCLのTUNEL陽性率は有意に増加しPERK,CHOP免疫活性も有意に増加した。NT-4付加でTUNEL陽性率は有意に減少し、PERK,CHOP免疫活性も有意に減少した。以上より糖尿病環境誘導神経細胞死にER stressが関与することが示唆され、NT-4はER stress関連細胞死経路を阻害することで細胞死を救済することが示唆された。前述の結果とふまえて糖尿病環境ではER stressとミトコンドリア依存性経路にはクロストークがあることが示唆された。
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