研究課題
本年は、DSAEK/nDSAEK後の他覚的視機能の解析をおもな目的として、研究を進めた。nDSAEK後において、術中術後合併症の有無や種類、術後視力と角膜内皮細胞密度(術後3ヶ月、6ヶ月、1年)について検討したところ、平均角膜内皮細胞密度(/mm2)は、術前ドナー2886、術後3ヶ月2197(24%減少)、術後6ヶ月2126(26%減少)、術後1年1957(32%減少)との結果が得られた。平均矯正視力は、0.13(術前)、0.54(術後3ヶ月)、0.69(術後6ヶ月)、0.78(術後1年)と良好であり、日本人眼における水疱性角膜症に対してnDSAEKは非常に有効な外科的治療法であることが示された。さらに、DSAEK/nDSAEK後の自覚的視機能の解析も施行した。The National Eye Institute Visual Function-25 (VFQ-25)日本語版を用いて術後の視覚関連QOLを検討した。DSAEKまたはnDSAEKを施行し3か月以上経過した12例13眼(男性3例、女性9例、71.1±11.1歳)で、水疱性角膜症の原因はレーザー虹彩切開術後7眼、Fuchsジストロフィ3眼、内皮炎2眼、落屑症候群1眼であり、11眼がnDSAEK後、2眼がDSAEK後であった。すべて、術後視力が他眼視力よりも良好である症例、あるいは両眼症例であった。VFQ25日本語版アンケートを行い、VFQ25スコアを算出した。その結果、術後視力は平均0.87(0.4~1.2)で、他眼視力は平均0.45(0.01~1.2)であった。VFQ25の総合スコアは72.1±15.0で、全体的見え方のスコアは68.3±15.9であった。このことから、過去の報告と比較して、DSAEKやnDSAEK後の視覚関連QOLは比較的良好と思われた。
2: おおむね順調に進展している
現在データの解析中であるが、既に1本目の論文の掲載が決定しており、2本目以降の論文作成を開始している。
これまで通り実験を進めるが、来年度からはより論文作成に重点を置いて、研究を進めていく予定である。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
Corena
巻: 30 ページ: 675-680
DOI:10.1097/ICO.0b013e318200099d
Jap J Ophthalmol
巻: 55 ページ: 98-102
Invest Ophthalmol Vis Sci
巻: 52 ページ: 7888-7893