研究概要 |
研究計画に従い、角膜内皮移植術後患者におけるドナー接着因子に関する研究を行った。具体的には、DSAEK(Descemet stripping automated endothelial keratoplasty)とnDSAEK(non-Descemet stripping automated endothelial keratoplasty)を受けたそれぞれの患者群における臨床成績とドナーの接着状況をレトロスペクティブに統計学的に解析した。その結果、術後6カ月、1年の時点で裸眼矯正視力、眼鏡矯正視力に有意差はなく、内皮細胞密度、内皮細胞密度減少率においても統計学的な有意差は認めなかった。さらに、ドナーの接着率に関しても統計的な有意差は認めなかった。共焦点顕微鏡(In vivo laser confocal microscopy, Heidelberg Retina Tomograph II, Rostock cornea module)による生体組織解析では、DSAEK後に認められる上皮下混濁、実質の針状沈着物、ドナーレシピエント層間混濁、ドナーレシピエント層間沈着物に加えて、nDSAEK後には、巨大な高輝度ドナーレシピエント層間沈着物が認められた。この巨大高輝度沈着物は圧迫されて壊死したホスト角膜内皮細胞と推測されたが、nDSAEK後のドナーの接着や、術後矯正視力には、影響を与えないことが確認された。
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