研究概要 |
眼圧は緑内障のもっとも大きなリスクファクターとされている。しかし、眼圧は日内変動するため、最も高い眼圧を知ることは容易ではない。本研究では、光信号と交感神経系、時計遺伝子による眼圧日内変動の制御メカニズムを解明することを目的としている。眼圧の日内変動には、交感神経が関与することが知られているが、アドレナリンβ1/β2受容体ダブルノックアウトマウスの眼圧は、日内変動していた。このことから、他のアドレナリン受容体が、β1、β2受容体の機能を補って眼圧の変動に関与している可能性があると考え、アドレナリン受容体の発現をmRNAレベルで検討した。 生後約6ヶ月のアドレナリンβ1/β2受容体ダブルノックアウトマウスとC57BL6J(コントロールマウス)より、麻酔下で眼球を摘出し、前眼部と後眼部に分割した。房水を産生する毛様体のある前眼部よりpoly(A)+RNAを抽出し、β1、β2、β3、α2A,α2B、α2Cの特異的なプライマーを用いて、RT-PCRを行った。増幅されたバンドを定量し、ノックアウトマウスとコントロールとのmRNA量を比較した。内部標準としてはβアクチンを用いた。 β1、β2のプライマーを用いたRT-PCRでは、コントロールマウスではバンドが検出されたが、アドレナリンβ1/β2受容体ダブルノックアウトマウスでは検出されなかった。ノックアウトマウスとコントロールマウスを用いて、β3、α2A,α2B、α2CのmRNA量を比較した結果、有意な差は認められなかった。このことから、アドレナリンβ1/β2受容体ダブルノックアウトマウスにおいて、β3、α2A,α2B、α2C受容体のmRNAレベルの亢進、または抑制は見られないことが明らかになった。
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