本年は、正常眼圧緑内障(NTG)において網膜神経線維層欠損(NFLD)が拡大する例と不変例との臨床的相違について検討した。1-2か月毎に同一検者が3年以上経過観察できた境界明瞭なNFLDを有するNTGを検討の対象とした。青成分のみを抽出した白黒眼底写真を用いて、経過中のNFLDの拡大の有無に分けて臨床的特徴について比較した。その結果、選択された対象は93例93眼(平均観察期間8.2年)でNFLDが拡大した症例が55眼であった。乳頭出血(DH)がNFLD拡大群で35/55(63.6%)、NFLD不変群で6/38(15.8%)であった(p<0.0001)。NFLD拡大群の21/55(38.2%)でDHが再発した。NFLD拡大群の48/55(87.3%)でNFLDは黄斑側に拡大した。NFLDと離れた部位に出現したDHを除くと、21/25(84.0%)でDHの出現方向にNFLDは拡大した。視野の累積非進行率はNFLD拡大群(10年生存率:0.52±0.11)がNFLD不変群(10年生存率:0.89±0.08)より有意に低率であった(p=0.0019)。NTGにおいてNFLDの拡大はDHの出現や視野進行と密接に関連していた。
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