研究概要 |
網膜静脈分枝閉塞症に伴う黄斑浮腫(BRVOME)に対する抗VEGF薬剤硝子体注入治療経過のデータでこれまでに得られているデータを解析し,治療後1か月以内に視力は改善し,中心窩網膜厚(CFT)は減少することを確認し,さらに70%の例では,治療後3か月くらいまでの間に視力は再度悪化し,CFTは再肥厚すること,残りの症例では視力,CFTともに安定化することを明らかにした.さらにそれぞれのグループでのこれら臨床データの経時的変化をグラフ化することに成功した.再発した場合,治療は繰り返し行われるが,過去の治療回数にかかわらず,再発率は70%であることを明らかにし,その結果,3/4の症例では4回までの治療で安定化するという臨床的メッセージを示すことができた.その内容は現在Am J Ophthal誌に投稿中である.網膜色素変性(RP)についてはこれまでの20年以上のハンフリー10-2視野がこれまで10年以上にわたって得られている症例を集計し,そのデータについて平均偏差(MD)のみならず,個別感度データとして固視点付近の4点または12点の平均値と視力の関係を検討し,これらのうちで固視点周囲4点の平均値が最も視力とよく相関することを明らかにした.さらにこれら,個別データの経時変化について現在解析中である. 中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)について視野感度と光干渉断層計(OCT)での網膜厚との相関について明らかにし,神経網膜自体よりも網膜下液の高さが感度に相関することを明らかにした.そのほか黄斑円孔の形態学的な変化について症例をまとめて報告した.
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