研究概要 |
ドライアイは眼部の不快感をともなう、その有病率は高いものでは30%を超えている。これらの報告で共通しているのは高齢の女性に多いことであり、性ホルモンの関与が考えられていきた。我々が所有するKera3tTA3/tet-0-FGF7(Kera3tTA3ムウス:眼瞼組織で過剰発現している線維芽細胞増殖因子7(Fibroblast growth factor 7, FGF7)をドキシサイクリンを腹腔内投与で停止できる)では2014 Teklad Global 14% Protein Rodent Maintenance Diet (Harlan Laboratories, Inc.米国より輸入)を使用すると、マイボーム腺と眼瞼上皮の過剰増殖は雄では100%おきるのに対して雌では発育異常を伴う極1部にのみマイボーム腺と眼瞼上皮の過剰増殖という性別によりphenotypeがことなる大変興味深い遺伝子組換えマウスである。一般的には生理活性が強いとされる17β-estradiol,や4,5α-Dihydrotestosteroneが注目され、研究のターゲットとされてきたが、FGF7による、ヒト皮膚培養上皮細胞(Human Keratinocyte Cell Culture, HKCC)の増殖がProgesteroneにより抑制されることを見いだし、研究をさらに発展させるべく、ProgesteroneとFGF7が細胞周期に与える影響を明らかにしようとしている。当初はサイクリン依存性キナーゼ(cylcin-dependent kinase : CDK)やp21などの細胞周期を制御する因子を比較検討する予定であったが、細胞周期を蛍光標識でreal-timeに観察できる利便性を考え、理化学研究所より、B6.Cg-Tg(Fucci)504Bsi(RBRC02706)[Fucci-S/G2/M-Green:mAG-hGeminin(1/110)]とB6.Cg-Tg(Fucci)596Bsi(RBRC02707)[Fucci-G1-Red:mKO2-hCdt1(30/120)](double FUCCI mouse)購入した。生直後のdouble FUCCI mouseの皮膚をdispase IIで、keratinocyteのみ取り出し、CnT-07 medium (CellnTec, Bern, Switzerland)をcollagen typel coat 6 well plate (IWAKI, ABW-4810-010)で培養後、30% confluentの状態でsupplementを除去して12時間のstarvationかけた状態での、Progesterone2時間前投与後の、human FGF7(hFGF7:R&D251KG/CF)の作用と、ProgesteroneとhFGF7を作成して、G0-G1期の細胞とS-G2-M期の細胞の比率を検討している。一方、マイボーム腺はP7のdouble FUCCI mouseより単離を試みている。trypsin-EDTA処理後、CnT-07 mediumにコレラトキシンとhFGF7を加えた培養液を使用し、球形のマイボーム腺細胞らしき細胞を得ているが、脂質の分析が心要である。
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