研究課題/領域番号 |
22591952
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
高橋 浩 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00188046)
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研究分担者 |
小原澤 英彰 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20350035)
五十嵐 勉 日本医科大学, 医学部, 講師 (10421190)
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キーワード | 細胞・組織 / 病理学 / 生理学 / 酸化ストレス / 眼科学 |
研究概要 |
白内障超音波乳化吸引術(PEA)や硝子体手術などの内眼手術では、手術操作そのものが眼組織に対する酸化ストレスとなっている可能性が高い。PEAでは超音波に伴うフリーラジカル産生とそれに伴う角膜内皮障害が明らかにされており、硝子体手術ではイルミネーション、空気潅流あるいは組織染色による酸化ストレス障害が示唆されている。近年、傷害性の高いヒドロキシラジカル(OH・)に対して水素ガス(H2)がスカベンジ効果を発揮し酸化ストレス障害から組織を保護することが報告された。また、虚血再潅流網膜障害モデルにおいて水素ガス溶解点眼液の組織保護効果も明らかとなった。以上より、本研究は内眼手術の酸化ストレス障害に対する水素ガス溶解潅流液の効果を検討することを目的として実験を計画した。初年度に続いて、模擬眼モデルを用いたPEAシミュレーションを行い、水素ガス溶解潅流液のOH・消去能を電子スピン共鳴法(ESR)にて計測した。具体的には潅流液中にOH・特異的トラップ剤であるDMPOを混入し、模擬眼前房内で超音波を発振、直ちに前房水を採取してESRにてDMPO-OHシグナルを測定した。灌流吸引を伴うPEA条件下でもOH・が産生されることは証明されており、これに水素ガスがどのように影響するかを検討することを目的として行った。また、白内障手術に用いられる粘弾性物質の存在にどのように影響されるかも検討した。おおむね予想された抑制効果が確認できたが今後は生体内での検証に移る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生体内でのシミュレーションに再現性が乏しく、再検討を要している。このため、硝子体手術でのシミュレーションに移行する段階が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
生体内シミュレーションの再現性を高めるために、組織障害の検出方法を検討する。角膜内皮のみならず、網膜への障害度を検討することが最終目的であるため障害度検出の方策をより再現性の高い方法に変えることを検討していく。
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