研究概要 |
我々は以前の研究で、毛様体表面である無色素上皮細胞層にはFibrillin-1とversicanとhyaluronanが巨大分子複合体であるFiVerHyを形成することを示した(Ohno et al.,2008)。毛様体無色素上皮細胞として今回はhuman non-pigment ciliary epithelial cellsを用いて、この培養細胞においても同様の構造が構築されており、しかも、この分子複合体が例えばMatrix metalloproteinase-3(MMP-3)で破綻されることを目的として設定した。これまでの研究では、毛様体細胞においてlatanoprostがMMP-3発現を誘導することが示されている。培養液にMMP-3あるいはlatanoprostを加えると、培養上清中にFibrillin-1とversicanの分解物が増加することがMALDI-TOFMASで確認された。FiVerHyは房水の抵抗として働き、この分解はぶどう膜炎におけるflareの増加を促す現象と一致して眼圧が低下する臨床的意義や、latanoprost投与により眼圧低下に働く事実と一致する。FiVerHyの機能解明が、血液眼関門としての血液房水関門の機能解明と眼圧下降薬の開発への新たなる布石となる事を信じて、今後も本研究を継続する。
|