研究課題/領域番号 |
22591961
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
長岡 泰司 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00333691)
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研究分担者 |
大前 恒明 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (30451470)
中林 征吾 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (00451469)
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キーワード | 糖尿病網膜症 / 血管内皮機能障害 / 酸化ストレス / 一酸化窒素 / 血糖コントロール |
研究概要 |
平成22年度の研究により、以下の成果を得た。 1)ネコを用いたin vivo実験により、急性高血糖負荷により、血管内皮依存性の網膜血管拡張因子であるブラジキニンによる網膜血流増加反応が減弱することから、高血糖負荷により網膜血管内皮機能が減弱することが明らかとなった。また、高血糖負荷後に正常血糖に戻すとこのブラジキニンによる血流増加反応が改善することから、適切な血糖改善により血管内皮機能障害が改善されると推測された。さらに、活性酸素除去剤Tempolの前投与によりブラジキニンの血流増加反応が改善することから、この高血糖による血管内皮機能障害には酸化ストレス増加が関与していると推測された。 2)2型糖尿病における網膜循環動態についてはこれまで詳しい検討がなされていなかった。我々は、網膜症のない、あるいはごく早期の網膜症を有する2型糖尿病患者を対象として、レーザードップラー眼底血流計による網膜血流量測定をおこなった。この横断研究により、網膜症のない病期ですでに網膜血流量は低下しており、軽度網膜症においても血流量は低下したままであることを明らかにした。また、網膜血流量と血中LDLDおよびクレアチニンの値は負の相関関係があり、脂質異常症および腎機能が網膜循環に影響を及ぼすと考えられた。また、網膜血流量が低値である群では、有意にHbAlcが高値であり、血糖コントロール不良により網膜循環が障害されている可能性が示唆された。 以上の結果から、網膜症早期より網膜循環を改善させる薬剤により適切に介入することによって、その後の糖尿病網膜症の発症・進展を予防できる可能性が示唆された、平成23年度の研究により、新しい糖尿病網膜症治療法の開発につなげたいと考えている。
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