研究課題/領域番号 |
22591962
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡部 眞三 東北大学, 国際高等研究教育機構, 非常勤講師 (10093486)
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研究分担者 |
富田 浩史 東北大学, 国際高等研究教育機構, 准教授 (40302088)
菅野 江里子 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (70375210)
砂金 ひとみ 東北大学, 国際高等研究教育機構, 技術補佐員 (30400451)
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キーワード | チャネルロドプシン / 網膜 / 視覚野 / 網膜色素変性症 / 神経節細胞 / アデノ随伴ウイルスベクター / 遺伝子治療 |
研究概要 |
緑藻類クラミドモナスが持つ光受容タンパク質「チャネルロドプシンー2(ChR2)」は、光受容能と陽イオン選択的チャネルとしての機能を有し、神経細胞に遺伝子導入することによって、光受容能を賦与することができる。この特徴的な機能を利用することで、遺伝盲ラットの視機能を獲得することに成功している。この方法では、視細胞が消失した網膜の神経節細胞(RGC)にChR2を導入することによって、RGCに光受容能を与える。RGCには、役割の異なる数タイプが存在することから、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いた遺伝子導入によって、ChR2が発現されたRGCのタイプを調べることは、回復される視機能をシミュレートするのに有用である。ラット網膜への遺伝子導入では、投与するウイルスベクターの濃度に依存して、導入される細胞が異なることが示されている。濃度の減少に伴って小サイズの神経節細胞には導入されず、大型の神経節細胞に限定されることが明らかとなった。 今回、カニクイザルを用いて、アデノ随伴ウイルスベクターによる網膜神経節細胞への導入効率を調べた。アデノ随伴ウイルスベクターを硝子体内に投与し、遺伝子の発現を網膜進展標本を作製し調べたところ、遺伝子発現は確認されなかった。その原因が硝子体にあると考え、硝子体を酵素的に融解し、遺伝子導入を行うことを試みた。硝子体を融解後、アデノ随伴ウイルスベクターを投与したところ、網膜神経節細胞での遺伝子の発現を確認することができた。ラットでの研究と同様に、大型の神経節細胞に発現が見られた。しかし、遺伝子導入効率は、ラット網膜への遺伝子導入と異なり、遥かに低いものであった。
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