研究の目的:角膜が薄いことが緑内障発症あるいは視神経障害進行の危険因子であることを示す疫学研究の報告が続いている。角膜が薄く眼球の硬性が少ないと緑内障が発症しやすくなるのか?非侵襲的に測定された眼球の硬性を指標として緑内障発症のメカニズムの中で眼球の硬性が果たす役割を明らかにすることを本研究の主目的とする。 研究の成果:計画では平成22年度中に1)エキシマレーザー手術前後の測定(角膜が極端に薄いときの測定)2)ソフトコンタクトレンズ装用前後の測定(角膜が厚い眼の模擬眼の測定)を行い、角膜の変位量、変形部分と非変形部分のなす角度などのパラメーターの有用性を比較し解析のための最適条件を確立することにあった。 1)エキシマレーザー手術前後の測定の結果:角膜の変位の長さ、変位に伴う角膜の曲率はエキシマレーザーによる手術を受けても変化しないこと、角膜の変位量は角膜で有意に変化することから角膜の変位量が最も適したパラメーターであることが明らかになった。 2)ソフトコンタクトレンズ装用前後の測定の結果:コンタクトレンズ装用を行うと角膜の曲率が変化することからデータの解析が困難であることもわかった。しかし、コンタクトレンズ装用時の眼圧測定値から真の眼圧を導く換算式を考案することができ、現在論文投稿中である。それに加えて3)再現性良く角膜変位量を求めるための条件を探る再現性確認実験を追加した。その結果、測定開始後14.4ミリ秒から15.0ミリ秒の間のデータが最も安定することが明らかにされた。これらの結果の一部はすでに国内外の学会で発表し、現在は論文化の作業を行っている。さらに来年度に予定されている白内障手術前後の測定(眼球全体の構造剛性が変化した時の測定)に向けて準備中である。
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