研究概要 |
ヒト網膜細胞の分化機構の詳細は不分明である。 これまで網膜神経前駆細胞から網膜神経節細胞を経て双極細胞や視細胞に分化すると考えられているが詳細は確認を要する。我々はips細胞から網膜神経前駆細胞を精製する培養法を確立しクローン化にも成功した。この網膜神経前駆細胞はnestin,musashi1,six3,chx10を同時に発現している(Suzuki N,et al.Establishment of retinal progenitor cell clones by transfection with Pax6 gene of mouse induced pluripotent stem(iPS)cells.Neuroscience Letters 2011)。この細胞株はフィプロネクチン存在下に神経分化誘導培地とともに培養すると網膜神経節細胞、双極細胞および視細胞に自然に分化する。 そこで視細胞への分化を加速させる基礎的検討として、この細胞を種々のサイトカイン、成長因子、ケモカインとともに培養して視細胞への分化誘導能を評価した。その結果、特定のふたつのサイトカインがCD73陽性の視細胞前駆細胞へ分化誘導できることが明らかになった。具体的にはSDF1とMCP1であり、それぞれの存在下は95%程度の細胞がCD73陽性視細胞前駆細胞へと分化する。これは更にRhodopsin陽性細胞とRed-opsinとGreen-opsin陽性細胞にまで分化する。 このような高純度の視細胞集団についてはこれまで全く報告は無い。
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