研究課題/領域番号 |
22591970
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
山本 直樹 藤田保健衛生大学, 共同利用研究施設, 講師 (00267957)
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研究分担者 |
谷川 篤宏 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (40324412)
堀口 正之 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70209295)
大熊 真人 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (50329710)
宮地 栄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90129685)
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キーワード | 網膜再生 / 組織幹細胞 / 組織前駆細胞 / 網膜神経細胞 / 虹彩 / Cell selection / 電気生理 / コーティング |
研究概要 |
平成22年度の研究成果において明らかとした神経様細胞へ分化できる細胞を選択・分離し、培養することで効率的に高純度の神経様細胞が培養できることが明らかとなった。さらに培養ディッシュ表面を新しく開発したコラーゲン薄層コーティングすることで、細胞のキャラクターを維持させて継代することができることが明らかとなった。一方、細胞選択において、上皮様細胞を選択・分離し、メラニン合成誘導培地で培養することで、網膜色素上皮細胞様の形態で細胞膜タンパク質を発現する細胞に分化できる可能性があることが分かった。網膜色素上皮細胞は、網膜神経細胞の基底細胞であり、網膜再生研究においても重要な細胞であることから、虹彩由来細胞からの網膜色素上皮細胞への分化誘導に関する研究も開始することとした。 マウス・ヒト虹彩由来細胞を様々な条件で分化誘導した細胞を用いて、細胞電気生理学的手法(パッチクランプ法)による神経細胞の特徴を評価したところ、Na^+チャネルやK^+チャネルを有する細胞に分化できることが明らかとなった。今後、コラーゲン薄層コーティングなどを用いて、分化誘導後の細胞の生存率の向上、さらに効率的な分化誘導条件の検討を継続して行っていく。 さらに幹・前駆細胞の維持培養条件の検討として、培養時の酸素濃度、回転培養などの物理的な負荷を与えることによる効果も検討する。分化誘導についてもレチノイン酸の他、Dkk-1、Lefty-A、Activin-Aなどの分化誘導薬剤の効果も検証する。 移植実験用の各種装置は既に当研究室に準備してあるが、本学の実験動物センターでは一度、実験動物をセンター外に持ち出して移植手術をした動物を再度、実験動物センター内に戻して経過観察をする飼育室が存在しない。そこで、移植実験のシステムを簡易化・小型化し、再度、移植実験に取り組むこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
虹彩組織由来細胞の継代・維持と網膜神経細胞への分化誘導において、最も重要な細胞のクラスター形成と接着性を増強させる新しい細胞ディッシュのコーティング法を開発した。網膜神経細胞に分化誘導した細胞の一部で細胞電気生理学的手法(パッチクランプ法)によるNa+チャネルおよびK+チャネルを有する細胞に分化させることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
各種シグナル阻害剤による幹・前駆細胞の維持培養条件および各種分化誘導薬剤を用いた比較検討実験をさらに進捗させ、効率的な培養条件を検索する。移植実験用の各種装置を研究室に準備してあるが、本学の実験動物センターでは、一度、実験動物をセンター外に持ち出して処置した動物を再度、実験動物センター内に戻して経過観察をする飼育室が存在しない。そこで、移植実験のシステムを簡易化・小型化し、移植実験に再度取り組む。網膜色素上皮細胞は、網膜神経細胞の基底細胞であり、網膜再生研究においても重要な細胞であることから、虹彩由来細胞からの網膜色素上皮細胞への分化誘導に関する研究も平行して開始する。
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