研究課題
P2X7受容体拮抗薬の網膜神経節細胞(RGC)に対する保護効果を、ラット眼圧上昇モデルで検討した。1) ラット慢性眼圧上昇モデルをいくつかの方法で作製しようと努めたが、安定したモデルが作製できなかったため、前房内カニュレーションによって作製した急性眼圧上昇モデルを用いることにした。虚血モデルというより、眼圧上昇そのものの影響をみるため、眼圧50mmHgで60分負荷を行うこととした。なお、この眼圧レベルであれば視神経乳頭や網膜の血流が約20%低下するのみで、虚血というほどの血流低下は起こらないことを前年度にレーザースペックルフローグラフィによって確認している。2) まずHE染色した上で組織学的に検討した。上記モデルにおいて、RGC密度、内網状層(IPL)厚は有意に減少したが、内顆粒層や外顆粒層の厚みは有意な変化を認めず、主に網膜内層に傷害を生じた。P2X7受容体拮抗薬であるP2X7拮抗薬であるOxATPやBBGを各4濃度で投与した結果、これらの傷害は用量依存的に抑えられた。3) 次に免疫組織化学的に検討した。神経細胞やマイクログリアにおけるP2X7受容体、マイクログリアにおけるTNF-α、IL-1βの免疫活性を二重染色で検討した結果、急性眼圧上昇の2日目をピークにいずれも上昇し、またOxATP投与によって抑制された。4) さらにReal-time PCRによって定量評価を行った。急性眼圧上昇の2日目を中心にP2X7受容体、TNF-α、IL-1β、IL-6のmRNAが有意に上昇し、OxATP投与によって抑制された。以上の結果より、眼圧上昇によってP2X7受容体活性が亢進し、RGCなど網膜内層の傷害を惹起するが、その背景にTNF-α、IL-β、IL-6などの炎症性サイトカインが関与している可能性が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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