研究課題/領域番号 |
22591973
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
奥 英弘 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90177163)
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研究分担者 |
高井 真司 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (80288703)
福原 雅之 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00238510)
奥野 高司 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20411366)
石崎 英介 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70530434)
小林 崇俊 大阪医科大学, 医学部, 助教 (10567093)
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キーワード | 活性化グリア細胞 / スタチン / TNF-α / 視神経挫滅モデル / 一酸化窒素 / NF-κB / endothelin-1 / real time-PCR |
研究概要 |
活性化グリア細胞を介した網膜神経細胞の傷害機序のうち、活性化グリア細胞から分泌されるTNF-αの神経毒性に関して、RGC-5株を用いて検討した。TNF-αに暴露により、用量依存的、時間依存的にアポトーシスを介した細胞死が惹起された。活性化グリアから分泌される一酸化窒素(NO)は、TNF-αによる細胞死を増強させた。TNF-α誘発神経細胞死は、NF-κBを阻害すると顕著に増強され、NF-κBの制御が神経保護のために重要であると考えられた。またこのin vitroの実験系で、NOがNF-κBをニトロソ化し、結果的にNF-κBを抑制することでのTNF-α誘発細胞死を増強させる機序が明らかになった。スタチンのNF-κBへの作用と、神経保護については現在検討中である。 ついでin vivoの実験系で、ラット視神経を挫滅して、網膜神経節細胞死を惹起するモデルを用い、どのような生理活性物質が挫滅視神経で発現し、網膜神経節細胞死に関与しているかを検討した。視神経挫滅後1週間で視神経を摘出し、RNAを抽出してreal time-PCRで遺伝子発現の変化をみると、傷害部視神経ではTNF-α、誘導型一酸化窒素合成酵素、endothelin-1(ET-1)、endothelin-B(ETB)受容体、GFAPの発現亢進が有意に認められた。グリアの活性化に重要なET-1の作用を、ETB受容体拮抗剤で阻害すると、視神経挫滅による網膜神経節細胞死は有意に抑制された。スタチン(5mg/kg/day)を浸透圧ミニポンプで全身投与すると、挫滅視神経におけるET-1およびTNF-αの発現が有意に抑制された。TNF-αには軸索傷害作用が報告され、前述した挫滅視神経でのET-1の作用を考えあわせると、スタチン投与は網膜神経節細胞に対して保護的に作用する可能性が考えられる。この点についても現在実験中である。
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