研究分担者 |
福原 雅之 大阪医科大学, 医学部, その他 (00238510)
小林 崇俊 大阪医科大学, 医学部, 助教 (10567093)
奥野 高司 大阪医科大学, 医学部, その他 (20411366)
石崎 英介 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70530434)
高井 真司 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (80288703)
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研究概要 |
昨年までの研究で、視神経挫滅時には挫滅創にCD68陽性のマクロファージ・ミクログリアが遊走し、endothelinを分泌し、周囲のアストロサイトを活性化して、neuro-inflammationを惹起しながらグリア瘢痕を形成することを明らかにした。またneuro-inflammationの抑制で、神経保護作用が期待できることを示した。 スタチンはNFκBを抑制することから、neuro-inflammationを抑制し神経保護作用が期待できる。そこでsimvastatinを浸透圧ミニポンプで全身投与し、vehicle投与群を対照に神経保護作用を比較検討した。 実験には視神経挫滅モデルを用い、simvastatin(1mg/kg/day)は視神経挫滅の1週間前から全身投与した。その結果、simvastatinは網膜神経節細胞死を有意に抑制した。挫滅後3日で視神経挫滅部を免疫組織学的に検討すると、simvastatinはCD68陽性細胞の集積を抑制し、また白血球遊走を促進するケモカインであるMCP-1の発現を抑制していた。Real-time PCRによる検討でも、simvastatinはvehicle controlに比べて、CD68, MCP-1, ET-1, GFAP, TNF-α, iNOSの遺伝子発現を有意に抑制した。 視神経由来の培養アストロサイトを用いた系での検討でも、simvastatin(1.0 μM)はNFκBのリン酸化、核移行、DNA結合能などを有意に抑制することが確認できた。したがってsimvastatinの神経保護作用の機序として、アストロサイトのNFκBを抑制することで、neuro-inflammationを抑制している可能性が示唆された。
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