研究概要 |
ボンベシン投与群(30 μg/kg/day)で1.5cmまで自己再生することができた部位を組織学的に検索したところ、正常の腸管組織構造を有しておらず、薄い粘膜と繊維のみで構成されており、筋層を再生するためには、ボンベシンの投与だけでは不可能で、他の成長因子なども同時に投与する必要があるとの結論に至った。しかし、現在の研究費・研究期間に十分な余裕がないため、同様の神経ペプチドを呼吸器の再生に応用できないかと考え、胎児肺低形成の新たな治療方法の開発に研究目的を変更した。具体的にはボンベシンをCDH妊娠ラットに投与することにより、胎仔ラット肺の成熟度について検証した。妊娠Sprague-Dawley (SD)ラット(term22)に対し妊娠9.5日にnitrofen100mgを経鼻胃管を用いて胃内に投与した。CDHラットの発生率は53.6%(73/137)であった。HE染色ではCDHラット肺で肺胞腔の狭小化、肺胞壁の肥厚が認められ、肺低形成の所見に一致した。また、肺/体重比はnormal群(n=14):21.46±1.59mg、CDH群(n=37):15.45±2.71mgであり有意差を認めた(p<0.01)。CDH群におけるBBS投与は妊娠0日より腹腔内投与を開始し、BBS投与量を10,20,50μg/kg/dayに分けて評価した。その結果、肺/体重比はBBS10μg(n=17):16.48±2.62mg、BBS20μg(n=4):18.52±6.61mg、BBS50μg(n=8):21.34±4.0mgとなった。BBS非投与群とBBS50μg投与群では有意差を認めた(p<0.01)。またBBS10μgとBBS50μg投与群でも有意差を認めた(p<0.01)。以上よりCDHラット肺重量はBBS投与量依存性に増加することがわかった。現在そのメカニズムについて解析中。
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