研究課題
(1) 免疫組織科学を用いたケロイド組織内のケモカインCXCL12の同定:抗ヒトCXCL12抗体を用いてケモカインCXCL12を染色したところ,ケロイド組織内に一部残存している腺管構造を中心に染色した部位を認めた。これにより,実際にケロイド組織内にケモカインCXCL12が発現していることが確認された。(2) PMA (Phorbol 12-myristate 13-acetate)を用いたマウス皮膚炎症モデルの作成:PMA (Phorbol 12-myristate 13-acetate)をマウス背部皮膚へ注入した後,皮膚よりRNAを抽出した。RT-PCRを用いてCXCL12に対応するケモカインレセプターCXCR4の発現を確認したところ,PMA注射群において値の上昇が認められた。(3) ヒトfibrocyteの分離とマウスへの移入:ヒトfibrocyteの分離はBucalaの方法に準じて行った(Bucala R, Mol Med. 1994)。培養されたfibrocyte(紡錘形,弱拡大)分離した細胞を蛍光色素で染色し,(2)で作成した皮膚炎症マウスへ移入することで,fibrocyteが局所へ移行するのを免疫組織化学で評価することを検討した。実際に蛍光色素でfibrocyteを染色し,移入を行ったが,適切な評価を行うことは困難であった。これについては大きく以下の2つの理由が考えられた。①fibrocyteの生存率:もともと継代が困難な細胞であり,培養されたfibrocyteを剥離して移入する際の細胞の死亡率が高い。②マウスの肺におけるトラッピング:fibrocyteを血管内に移入した場合に肺を通過する場合は非常に多くの細胞がトラップされてしまうため創部局所への移行率が低い。
24年度が最終年度であるため、記入しない。