研究課題/領域番号 |
22591992
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
野村 正 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (30529566)
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研究分担者 |
田原 真也 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (60207206)
平島 正則 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (40383757)
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (80217421)
橋川 和信 神戸大学, 医学部附属病院, 特命講師 (90403237)
榊原 俊介 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (50444592)
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キーワード | リンパ浮腫 / プロスタノイド / プロスタノイド受容体 |
研究概要 |
がん治療・外科技術の進歩とともにリンパ浮腫患者は増加傾向にあり、患者の著しいQOLの低下を招く。これに対し、スーパーマイクロサージャリーの技術を応用し、リンパ管-静脈吻合術が行われるようになったが、リンパ管機能とその生理学についてはまだ不明な事象が多い。われわれは本研究を通し、リンパ管の生理機能を分子生物学的側面より評価し、また、その薬理学的挙動を解析し、疾患治療へ結び付けることを目指している。 本年度はリンパ管-静脈吻合術中に切除されたヒトリンパ管断端をサンプリングし、プロスタノイドレセプター5種類(TP,IP,EP2,EP4,DP1)に対する抗体を用いてこれらの発現を組織学的に検討した。これらのプロスタノイドレセプターはそれぞれ動脈・静脈に発現していることが確認されており、いずれも血管の収縮・拡張機能に関与しているとされている。 ヒトリンパ管ではプロスタノイドレセプターもリンパ管における発現が認められた。発現様式は動脈/静脈のいずれとも相同であった。 以上より、プロスタノイドはリンパ管運動に影響する可能性が示唆された。 ただし、本検討の対象となったのは病的リンパ管であり、昨年の研究で認められたように病的リンパ管では平滑筋の肥厚が認められ、血管様な組織学的特徴を持つ事から、今後、正常リンパ管での検討も行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標としていたリンパ管におけるプロスタノイド受容体の発現の確認は達成できた。一方でPCRプライマーの構築に苦渋しており、来年度は確立を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
発現が認められたプロスタグランディンを用いて、ワイヤーミオグラフシステムにより、これらの薬剤を投与した際のリンパ管の生理学的反応を検討する。 また、プロスタノイド受容体の発現については免疫染色では確認できているが、PCRフラグメントの採取とともにin situハイブリダイゼーションを行い、mRNAレベルでの発現確認も行う。
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