研究課題/領域番号 |
22591993
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
橋川 和信 神戸大学, 医学部附属病院, 特命講師 (90403237)
|
研究分担者 |
田原 真也 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (60207206)
榊原 俊介 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (50444592)
|
キーワード | 顔面神経麻痺 / マイクロサージャリー / 人工神経 |
研究概要 |
顔面麻痺に対する動的再建術は、神経科学的考察の基、様々な手術術式の変遷を辿ってきた。近年ではcross-link型神経移植法が開発され、その臨床的効果を認め始めている。本術式は顔面神経麻痺のみならず四肢の神経再建にも応用可能であり、極めて有用な再建方法であると考えるが、一方で、術後の神経ネットワーク形成およびその意義について未だ解明されておらず、その臨床学的可能性は広がりを見せない。われわれは前課題研究において本術式の神経ネットワーク形成を解明すべく神経トレーサー法により、軸索の誘導などを明らかとした。再構築された神経ネットワークの意義について更に解明を行うため、本研究課題を行っている。 本年度はcross-linkに用いるグラフトの脱細胞化について検討を行った。(1)高張塩溶液、(2)凍結融解、(3)界面活性剤を用いてそれぞれラットの末梢神経に対して脱細胞化を試みた。HE染色ではいずれの組織も核の消失が認められ脱細胞化が行われていた。ウェスタンブロッティング法での予備実験では、いずれの系においてもMHC-classIの減少を認めたがその減少は(1)(2)(3)の順で大きくなった。末梢神経に作成したギャップへの移植実験(端々縫合)では、いずれにおいても軸索の伸展が認められたが、実際にcross-linkでは端側縫合であるため、シュワン細胞有無により軸索誘導に影響すると考えられる。予備実験として回転培養系でシュワン細胞の定着も認められている。次年度はこれら脱細胞化組織を用いたcross-link実験と、これら脱細胞化組織へのシュワン細胞の播種後の移植実験を計画している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
cross-linkに用いるための移植神経の準備として種々の脱細胞化法を実験系として確立し、シュワン細胞の導入も確立しつつ有る。以上よりおおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
種々の脱細胞化法で得られた末梢神経グラフトを用いてcross-link実験(端側)を行う。また、脱細胞化されたグラフトにシュワン細胞を定着させ、これを用いてcross-link実験を行い、シュワン細胞の重要性も探る。
|