1.リンパ浮腫の治癒過程の肉眼的観察①<方法>平成23年度までの研究結果をふまえ、ICGを用いた蛍光リンパ管造影法(以降FLG-ICG法)での詳細な観察を行った。250gから300gのWistarラット(雄)6匹の足切断再接着術後(1~6、10、14日)のリンパ管の形態を観察した。②<結果>術後2日目から下肢全体にび慢性に蛍光を発するのが観察された。すなわちリンパ液のリンパ管外への漏出が観察され始めた。4日目以降で皮下の毛細リンパ管が描出され始めた。5日目以降に切断部を超えて中枢のリンパ管へ流入する様子が観察され始め、同時にび慢性の漏出は減少していった。 2.リンパ浮腫治癒過程の組織学的観察①<方法>浮腫のピークである3日目、正常ラット、リンパ浮腫作成後7日、14日のラットそれぞれ3匹において大腿全体をホルマリン固定、脱灰し、膝関節部における水平断の組織標本を作成した。これをpodoplaninによる免疫組織化学染色を行い、下肢全体に存在するリンパ管の数を測定した ②<結果>リンパ管数の平均値は正常ラットで318、術後7日のものは523、術後14日のものは581で術後にリンパ管数が増加することが明らかとなった。そのリンパ管の形態に関しては術後の方が管腔面積が大きいものが多かった。現在統計処理を行っている。 3.リンパ浮腫モデルに対する外科的治療の検討 リンパ浮腫治療としてのリンパ管静脈吻合術を下腿で試みたが、微細構造のため従来の手術機械では対応できなかった。代替方法として胸管でのリンパ管静脈吻合術をおこない、可能なことを確認した。これを応用できる全身のリンパ浮腫モデルを放射線照射にて作成中である。今後、これを用いて治療方法を検討していく。また、リンパ管移植術も行っており、結果を検討していく。
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