研究概要 |
マイクロサージャリ-を用いた微小血管神経縫合法による神経血管柄付移植筋での神経筋接合の修復過程解明を目的とし、移植筋モデルを用いてアセチルコリンレセプターの観察を試みた。予備実験としてラット大腿筋を用いた神経切断再縫合モデルを作成したが、direct neurotizationによる筋回復が危惧され、本実験には成熟雄白色家兎の大腿直筋短頭を用いた。支配神経・栄養血管に手技を加えないコントロールモデル(対側筋)、神経切除モデル、神経切断再縫合(同所性筋移植)モデル間での比較を行った。術後1~60週にphentobarbital麻酔下に筋体を採取し、筋性状観察と筋体重量測定を行うともに筋標本を作製し、筋体内アセチルコリンレセプターの解析を試みた。レセプターの描出には、凍結切片作成後、Alexa Fluora® 488 phallodin (life technologies™)とα-Bungarotoxin-tetramethylrhodamine (SigmaAldrich, Co.)溶液による蛍光染色を行い、レーザー共焦点顕微鏡LSM510(カールツァイス社)を用いた。得られた画像をパソコンに取り込み、観察に供した。 結果として、筋性状・重量は、以前報告したと同様の変化をたどり、神経切断再縫合モデルでは術後6~10週でコントロールの約6割に減少した後増加し、最終的に9割まで回復した。一方、蛍光染色による観察で、筋体内アセチルコリンレセプターは緑色に発光する筋組織内に赤色領域の散在という形で認められるが、神経切断再縫合モデルでの描出は非常に不安定であり、数量的解析には至らなかった。理由として、神経回復の個体差とともに固定時間や染色手技の差異が考えられた。今後の課題としてレセプターの安定した描出と解析を図る必要があり、プロトコールを改変し検討を進めている。
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