研究概要 |
スフィンゴシン1リン酸(以下S1P)の受容体発現の解析:S1Pの受容体にはS1PR1-5の5種類あることが知られており、RT-PCR,ウエスタンブロット法により、ヒト間葉系幹細胞においてS1PR1が発現されていることを前年度までに明らかにした。今年度はS1PR2、S1PR3、S1PR4、S1PR5の5種類の受容体に対し、RT-PCR,ウエスタンブロット法にて検出を試みたがいずれも検出されなかった。 S1P受容体の下流のシグナル伝達の解析:昨年までにS1P投与により間葉系幹細胞の細胞増殖が促進されることを確認しているが、S1P受容体の下流のシグナル伝達を解析した。まずp43/44MAPK経路について、選択的MEK阻害剤U-0126、PIK3/Akt経路について選択的PI3K阻害剤wortmanninを添加してS1Pによる細胞増殖作用が抑制されるかを解析した。いずれの阻害剤でも細胞増殖抑制機能は明らかでなかった。 S1Pが間葉系幹細胞の細胞遊走を促進するか:S1P投与により細胞遊走が促進するかをCell Migration Assay Kit を用いて解析した。細胞遊走はS1Pの濃度依存性に促進された。 S1Pは間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化を促進するか:間葉系幹細胞を細胞懸濁液とし、デキザメサゾン・グリセロリン酸・ビタミンCを含んだ骨芽細胞分化培地で培養した。培地にS1Pを添加した群、しない群を比較した。骨芽細胞への分化は石灰化染色、アルカリフォスファターゼ染色で確認した。S1Pを添加した群、添加しない群の間で染色の結果に差はなかった。 S1Pによる間葉系幹細胞の遺伝子発現の網羅的解析:S1Pを添加した培地と添加しない培地で間葉系幹細胞を48時間培養し、それぞれの細胞からtotal RNAを採取しDNAマイクロアレイによる網羅的解析を行った。現在データ解析を行っている。
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