ケロイドの発生機序は国内外において、未だ解明されない形成外科領域の難治性疾患の代表となっておりその治療方法も確立されていない重要な研究課題である。 我々はケロイド原因遺伝子の解明及び新治療の確立を目指して分子レベルの解析を行ってきた。ケロイド病変ではIL-6が活性化しており、このIL-6シグナルはTGF-betaやPDGFにより誘導されケロイドで過剰発現する事を報告してきた。 本研究はTGF-betaとPDGFシグナル伝達に関与するmicroRNA遺伝子を解析しケロイド線維化調節に関わるCOLIA2プロモーターの転写に関わるmicroRNA遺伝子の発現調節を明らかにすることにある。 22年度の研究において正常線維芽細胞及びケロイド線維芽細胞から抽出したRNAサンプルを個々にラベルしてprobeを作成しmicroRNA Human chipにて発現解析を行ないmiRNA遺伝子の網羅的解析を行った結果として、ケロイド線維芽細胞において正常線維芽細胞に比べ2倍以上の発現上昇を認めたmicro-RNA遺伝子にmiR-503、miR-886-3p、miR-129-3p、miR-199b-5p、miR-145、miR-19a、miR221、miR218、miR-7、miR-21、miR-1274aなどの遺伝子が検出された。発現低下を示す遺伝子にはmiR-1915などが認められた。これらのmicroRNA遺伝子がケロイド線維芽細胞にて機能していることを標的microRNA遺伝子を抑制あるいは過剰発現させることでコラーゲン及びIL-6産生量の変化をさらに解析する事によりケロイド発症の-因を明らかに出来ると思われる。
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