本研究は、非薄化した顎骨等に対して、「骨増生」を目的とした治療法の開発検討を、間葉系幹細胞と各種成長因子及び足場材料を組み合わせて実施する。間葉系幹細胞としては、血管新生能力、多分化能において良好な結果が報告されている脂肪組織由来幹細胞を応用することとした。 H22年度は、まず動物実験モデル作製を実施した。Fischer ratの頭蓋骨上にtri-calcium phosphate(TCP)由来の天板部と3本の支柱部からなる足場を植立し、骨増生モデルの作製を試みた。足場材料の設計として、天板部は直径6mm、厚さ1mmとし、支柱部は直径5mmで幅が1mmになるよう成形し、またα-TCPとβ-TCPの2種類の材質を用意した。支柱部を頭蓋骨上に植立する際は、支柱部を植立する部位の骨を歯科用エンジンバーにてドリリングした後、植立した。 移植4週後に移植部位を観察した結果、α-TCPとβ-TCP由来の足場材料は、移植した際の足場材料の形状を維持できず、支柱部の破折が認められた。破折部位は主に天板部と支柱部の接合部であり、in vivoでの物理的強度維持が困難であったと推察された。 H23年度は、前年度の結果を検証し、「骨増生」するための足場材料の構造を、より物理的強度をあげるような形状に変更し、骨増生モデルの作製を実施する予定である。
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