研究概要 |
動物モデルにおける脳虚血モデルの条件設定を検討した。12週齢の雄性Sprague-Dowley(SD)ラットを用い、ネンブタール40mg/kgを腹腔内投与、全身麻酔下にて、仰臥位にて、右頚動脈にカニュレーション、脱血、返血ルートとするした。直腸温(BAT-12,Physitemp Instruments Inc., USA)、尾動脈での脈拍・血圧測定(Model MK-2000)。血圧安定後、頚動脈より脱血により近心肺停止状態を惹起、全身低還流状態の時間を模索、この後返血(この時間を模索)した。脱血直前、返血直前、脱血後の各時点での血漿酸化ストレス度(d-ROM)をFRAS4にて測定、返血後d-ROMの上昇するモデルを模索した。返血後に血圧が回復したラットのみを検討対象とし、全身低還流時の状態により、(1)自発呼吸あり・血圧測定不可、(2)呼吸抑制・血圧低下、(3)呼吸抑制・血圧測定不可、の3群に分けた。d-ROMの推移は、(1)群(n=6)413±92U.CARR→326±62(低還流時間13±4分→420±87(返血後7±3分)、(2)群(n=3)450±22→386±50(16±4分)→349±69(4±2分)、(3)群(n=4)456±104→465±74(14±3分)→354±77(9±3分)、であった。返血後も心停止状態で体外的に心臓マッサージを行ったラット(n=2)の返血後d-ROMは627、687と高値であった。 以上より、脳虚血モデルとして、脱血により「自発呼吸あり・血圧測定不可」となる状態が妥当であり、今後は、この状態を作製することができた、急速脱血10ml、全身低還流時間10分、返血後採血5分を標準モデルとして、抗酸化物質の効果の検討を進める。
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