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2013 年度 実績報告書

急性腎傷害における心房性ナトリウム利尿ペプチドの腎保護作用メカニズムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 22592010
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

三高 千恵子  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20126254)

研究期間 (年度) 2010-10-20 – 2015-03-31
キーワード急性腎傷害 / 心房性ナトリウム利尿ペプチド / 虚血・再灌流傷害 / 多臓器障害症候群 / 抗炎症反応 / サイトカイン
研究概要

背景:腎虚血・再灌流傷害(IRI)は急性腎傷害の原因となり、酸素化も悪化する。心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)には、利尿作用と抗炎症作用がある。
目的:腎虚血・再灌流傷害は、遠隔臓器の炎症を惹起するのか、またANPはこれらの炎症を弱め、腎と遠隔臓器のクロストークを軽減するのかを解明した。
対象と方法:ラットを麻酔し、気管切開後、人工呼吸を施行した。ラットは1)生食+IRI群、2)ANP+IRI群、3)ANP+sham群、4)生食+sham群の4群に分類した。腎の虚血・再灌流傷害は左腎茎を30分間遮断して作成した。生食あるいはANP (0.2μg/kg/min)を遮断前から投与する前投与群と遮断後に投与する後投与群の評価をした。血行動態、動脈血液ガス、血漿クレアチニンおよび乳酸濃度を、0時間、クランプ解除後1 ,2, 3時間で測定した。実験終了後、肺の湿/乾比を測定した。前投与群では、腎と肺組織のtumor necrosis factor (TNF)-α、interleukin (IL)-1β、IL-6の mRNA発現を測定し、腎と肺組織におけるTNF-αの局在を検討した。また、後投与群では、心臓の組織も評価した。
結果:腎の虚血・再灌流傷害は代謝性アシドーシスや肺水腫を起こし、血漿クレアチニンおよび乳酸濃度を上昇させ、腎と肺組織のサイトカインのmRNAの発現増加およびTNF-αの局在を増加させた。ANP前投与も後投与も虚血・再灌流傷害による代謝性アシドーシス、肺水腫、血漿クレアチニンおよび乳酸濃度の上昇や腎と肺組織サイトカインmRNAの発現を阻止し、酸素化も改善した。前投与では腎と肺組織のTNF-αの局在を軽減した。
結論:腎の虚血・再灌流傷害ラットモデルにおいて、ANPは腎保護作用と腎と肺に対し抗炎症作用を示した。ANPは腎―肺のクロストークを軽減することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(理由)ラットの腎虚血・再灌流傷害モデルにおいて、ANP前投与により炎症性サイトカインの発現が腎と肺で減少し、腎の血管内皮細胞や気管支上皮細胞においてTNF-αの蛋白発現が確認された。これにより、ANPの前投与は腎や肺において抗炎症作用を示すことが確認された。
また、ラットの腎虚血・再灌流モデルを作成後にANPを投与(後投与)し、ANPが急性腎傷害を軽減し、遠隔臓器である肺や心臓の炎症反応を軽減するかを研究した。

今後の研究の推進方策

(理由)
ラットの造影剤誘発性腎傷害モデルにおいて、ANPが腎の炎症を抑制できるか否かを検討する。造影剤を投与する5分前からANPを持続投与し、対照群と比較して腎の炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6, IL-β)のmRNA発現を軽減できるかを検討する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Atrial natriuretic peptide attenuates kidney-lung crosstalk in kidney injury2014

    • 著者名/発表者名
      Tulafu M, Mitaka C, Hnin Si MK, Abe S, Kitagawa M, Ikeda S, Eishi Y, Kurata S, Tomita M
    • 雑誌名

      J Surg Res

      巻: 186 ページ: 217-225

    • DOI

      10.1016/j.jss.2013.07.033

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Atrial natriuretic peptide attenuates contrast-induced nephropathy in rats

    • 著者名/発表者名
      Chieko Mitaka
    • 学会等名
      第41回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      京都

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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