研究課題/領域番号 |
22592011
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
松田 兼一 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (60282480)
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研究分担者 |
森口 武史 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (60422680)
針井 則一 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (80377522)
後藤 順子 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (60530102)
阪田 治 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (30391197)
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キーワード | 解析・評価 / 可視化 / 救命 / ソフトウェア開発 / 電子デバイス・機器 / 栄養学 / 生体機能利用 / 情報工学 |
研究概要 |
昨年度に本腸蠕動運動モニタリングシステムの有用性を確認し得たため、本年度は本システムをもう1セット構築し、重症患者における腸蠕動運動データを積極的に収集する体制を整えた。また、アルゴリズムをさらに改良し、30分ごとの腸音発生回数平均値をリアルタイムに時系列グラフ化する事が可能となった。この改良により、ベッドサイドで腸蠕動運動をリアルタイムに把握できるだけでなく、腸音発生頻度の変化を経時的に把握できるようになった。 そこで、得られたデータのうち人工呼吸器、持続的血液濾過透析(CHDF)を必要とした多臓器不全患者9人を取り上げ、集中的に解析した。 まず、本リアルタイム腸音解析システムで得られた腸音数と聴診での腸音の評価との相関を検討した。その結果、本システムは聴診所見と相関性があり、新規モニタリング機器として有用である事が証明された。さらに長期間麻痺性イレウスを認めていた重症症例に対しても装着したところ、腸音数は多少の変動を認めながら維持されていることがリアルタイムに確認され、持続経腸栄養を開始し、経腸栄養の投与速度を腸蠕動運動を確認しながら上昇させる事が出来た。 また、鎮静および鎮痛作用、抗不安作用を有するデクスメデトミジンを投与すると、腸管蠕動運動が更新することが本システムによって明らかとなり、ICUにおける鎮静法を大きく変える可能性のある真実を突き止めることが出来た。 さらに、腸管蠕動運動の亢進作用がある大建中湯を投与すると、重症患者においても約2時間腸管蠕動運動が更新することが本システムによって明らかとなり、重症患者の経腸栄養投与のタイミングを正確に把握することが可能となった。 今後、重症患者における腸管蠕動運動の日内変動や、変動パターンを経腸栄養の有無、投与薬剤の種類、病態別、重症度別に解析し、それをもとに患者の状態の変化を予測する事が可能か否かを検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システムの改良と同時にデータの蓄積も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、重症患者における腸管蠕動運動の日内変動や、変動パターンを経腸栄養の有無、投与薬剤の種類、病態別、重症度別に解析し、それをもとに患者の状態の変化を予測する事が可能か否かを検証する予定である。 さらに、システムに改良を加え、より利便性の高いものにする予定である。また、可能ならば同様のシステムを数多く作成し、多施設共同試験の計画を進めていきたい。
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