研究概要 |
今年度、我々はラット孤立心筋モデルを用いて再灌流時に心肺蘇生をシミュレートした15/40 mmHg再灌流を10分間行った後に75mmHg再灌流を90分間行った場合の34℃低体温療法心筋保護効果について検討した。 15 mmHg再灌流では、15mmHgコントロール群%LV infarct size 53.3%±5.2から%LV infarct size 43.1%±6.9 (p=0.413) と低体温導入しても心筋保護効果を認めなかった。40mmHg再灌流では、40mmHgコントロール群%LV infarct size 48.2%±8.7から40mmHg低体温群%LVinfarct size 29.9%±8.4 (p<0.01) と心筋保護効果を認めた。心肺蘇生中なるべく高く冠灌流圧を保つことができれば、自己心拍再開後に行われる低体温療法の心筋保護効果を最大に発揮させることができるだろう。 次に、34℃低体温療法の心筋保護効果を示す機序としてExtracellular signal-regulated kinase (ERK) もしくはendothelial nitric oxide synthase (eNOS) が関与しているかどうか、ERK阻害薬U0126およびeNOS阻害薬L-NIOを用いて検討した。U0126群%LV infarct size 45.9%±9.4 (p<0.001, vs 40mmHg 低体温群)とU0126は心筋保護効果を消去したが、L-NIO群%LV infarct size 31.1%±12.3 (p=0.055, vs 40 mmHg 低体温群) とL-NIOでは判定保留となった。以上より、34℃低体温療法の心筋保護効果を示す機序としてERKも関与していることが示された。
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