研究概要 |
1.当施設での臨床研究(重症患者のせん妄発症のメカニズムの解明) 対象:当大学医学部附属病院先進救急医療センターに入室し,人工呼吸管理を受けた患者. (1)選択基準:20歳以上 (2)除外基準:意識レベルの回復が見込めない患者(蘇生後脳症,脳幹出血など),入室以前に認知症,精神発達遅滞,神経筋疾患,精神疾患を有していた患者.その他,担当医が不適切と判断した患者. 方法:抜管前後にCAM-ICU日本語版でせん妄評価を行う.全症例に書面で同意を得た後に開始する. (1)評価項目:APACHEllスコア,SOFAスコア(多臓器不全のスコア),年齢,性別,診断,人工呼吸日数,鎮静薬・鎮痛薬の種類と投与量(ミダゾラム/プロポフォール/デクスメデトミジン,ブトルファノール/フェンタニル),ステロイド薬の種類と量,人工呼吸器以外の機器の装着(血液浄化法,大動脈内バルーンパンピング,経皮的循環補助など),感染症の有無,カテコラミン使用の有無,ICU滞在日数,転帰. (2)測定項目:日常検査(血液生化学検査,末梢血検査,出血傾向検査,動脈血ガス分析,ポータブル胸部X線写真)と血清プロカルシトニン濃度,血清各種サイトカイン濃度(IL-6,IL-8,IL-10)などの特殊検査(抜管2時間前と抜管後24時間の2点の血清を凍結保存). 23年度までの症例数は28人,現在データ解析中である. 2.国内のICUでの疫学研究(せん妄の評価ツールを用いた診断法の普及,国内のICUせん妄の発症率を調べる疫学研究) 対象:ICUに入室した20歳以上の人工呼吸管理を受けた患者.除外患者は意識レベルの回復が見込めない患者(蘇生後脳症,脳幹出血など),入室以前に認知症,精神発達遅滞,神経筋疾患,精神疾患を有していた患者とする.方法:全ICU入室期間中,CAM-ICU日本語版を用いて1日数回せん妄評価を行う.配布した入力ソフトまたは紙媒体に入力してもらい回収する.この疫学研究の倫理委員会への申請は各施設に一任する.調査期間は6月1日~7月31日または10月1日~11月30日の2ピリオドとし,どちらのピリオドを選択するか参加施設に一任する. 日本集中治療医学会の応募研究(A)に採用され,国内の定評のあるICUから参加の意思表示をもらい,終了した.現在のエントリー施設数は,25である.現在データ解析中である.
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