研究課題/領域番号 |
22592023
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
久志本 成樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50195434)
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研究分担者 |
増野 智彦 日本医科大学, 医学部, 助教 (00318528)
佐藤 格夫 日本医科大学, 医学部, 助教 (30409205)
宮内 雅人 日本医科大学, 医学部, 助教 (60312063)
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
横田 裕行 日本医科大学, 医学研究科, 教授 (60182698)
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キーワード | 急性肺損傷 / 肺血管外水分量 / 肺血管透過性 / 急性肺水腫 |
研究概要 |
急性肺損傷・呼吸窮迫症候群(ALI/ARDS)の臨床診断は、その原因疾患、直接・間接損傷のいかんによらず、1994年のthe American-European Consensus Conferenceによる定義によりなされている。しかし、本診断基準を基にしたALI/ARDSの診断のでは、様々な呼吸不全をきたす病態が含有されており、臨床病態を十分に反映しえない可能性がある。ALI/ARDSの客観的診断法は、国内外を問わず、これまで科学的に妥当性をもって明確にされたものはない。本研究では、動脈圧波形解析による連続心拍出量測定装置を用いた肺血管外水分量と肺血管透過性係数により、科学的妥当性を有する定量的なALI/ARDSの診断基準を作成し、本病態の転帰改善につながる治療法開発に寄与することを目的とした。 本年度、ALI/ARDSを明確に定義するために、基礎病態の如何によらず、48時間以上の人工呼吸管理が必要と判断されるP/F ratio<300の症例を対象として、動脈圧波形解析による連続心拍出量測定装置による肺血管外水分量と肺血管透過性係数、および客観的肺水腫の評価を行った。中間解析により、1)P/F ratio<300かつ胸部X線写真にて両側性浸潤影を呈する胸水/無気肺症例では、肺血管外水分量の増加はなく肺水腫とは診断されない、2)ALI/ARDS鑑別における肺血管透過性係数の精度は高く、cutoff値として2.0-2.2程度が妥当であることが予想される、3)ALI/ARDSでは肺血管透過性係数と肺血管外水分量に正の相関があるが、非ALI/ARDSでは相関を認めず、また胸腔内血液量はALI/ARDSでも肺血管外水分量に影響することが示された。さらに検討を継続し、ALI/ARDS鑑別における肺血管透過性係数のcutoff値として2.5程度となるものと考えられる。また、従来より、肺水腫の定量評価におけるスタンダードとされてきた剖検肺における肺重量と本法により求められる肺血管外水分量との関係も直接的に証明し、その妥当性が明確になりつつあるものである。
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