研究課題/領域番号 |
22592026
|
研究機関 | 秋田県立脳血管研究センター(研究部門) |
研究代表者 |
武藤 達士 秋田県立脳血管研究センター(研究部門), 脳神経外科学研究部, 研究員 (80462472)
|
研究分担者 |
石川 達哉 秋田県立脳血管研究センター(研究部門), 部長 (10281809)
局 博一 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30142095)
|
キーワード | くも膜下出血 / 神経原性肺水腫 / 無髄C線維 / 自律神経 / 血行動態モニタリング / 中枢性呼吸制御 / 全身管理 |
研究概要 |
本研究では、破裂動脈瘤によるくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage; SAH)の予後を重篤化する危険性の高い全身合併症の一つである、神経原性肺水腫(NPE; neurogenic pulmonary edema)の病態機序ならびに中枢性発症機構の解明を目的とした。22年度は、NPE 15症例におけるデータ採取を施行した。各種モニタリング装置を併用し、胸腔内血行動態・生物学的活性物質を経時的に測定した結果、NPEの病態は中枢性の血管透過性亢進 (permeability edema)に加えて、たこつぼ型心筋症に代表される心機能低下に起因した肺うっ血(hydrostatic edema)の病態を有するタイプ、さらに両者の合併例があることが明らかとなった。特にたこつぼ型心筋症を併発した症例では発症超急性期の血漿カテコールアミン分画およびB型ナトリウム利尿ペプチドが著しく上昇していた。約7割の症例が通常管理で発症4日目までにNPEは正常化したものの、低心機能あるいは急性肺障害を合併した症例では水分・呼吸管理に難渋し、脳血管攣縮を合併する頻度が高い傾向を示した。次にNPE誘発モデル動物(ラット)を用いて、発症に関与した反射中枢として重要な役割を担うとされる、延髄孤束核(NTS;nucleus tractus solitarius)における気管支由来の自律神経求心性無髄線維の介在ニューロンの(bronchial C-fiber-activated NTS neurons)の各種神経伝達物質に対するin vivo細胞外単一神経活動の変化を分析した。予備実験では、C-fiber介在ニューロンの感受性亢進がNPEの病態の増悪に関与していることが推察された。現在、その制御機構としてsubstance P (NK1)に対する感受性の変化を検証中である。
|