研究課題/領域番号 |
22592029
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中村 公則 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (80381276)
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キーワード | 自然免疫 / 細胞・組織 |
研究概要 |
平成23年度は、22年度から引き続き「口腔細菌の腸管への影響」を検討するために、マウス上皮細胞の初代培養法を確立を目指した。細胞株樹立のため、以下の方法を数回試みた。胎生17日のCD1マウスから小腸組織を採取し、これを約1mmの長さに切り刻み、洗浄後、培養液(DMEM-10%FBS)で37℃、5%CO2で培養した。培養5日後に、小腸組織の裏側に紡錘状細胞に囲まれて、多角形の細胞が増殖してきた。そこで増殖してきた細胞の免疫染色を行った(上皮細胞のマーカーとしてサイトケラチン抗体(Wide spectrum Cytokeratin)とEカドヘリン抗体、間葉系細胞のマーカーとしてα-SMA抗体,ビメンチン抗体を用いた)結果、紡錘状の細胞はα-SMAが陽性、あるいはビメンチンが陽性の間葉系細胞だった。また、多角形の細胞は細胞質がサイトケラチン陽性で細胞膜はEカドヘリン陽性だった。この上皮細胞と間葉系細胞の混在している状態から上皮細胞のみを回収して培養するために限界希釈法を用いてクローニングを行った。限界希釈法でクローニングした細胞を免疫染色にて評価したところ、得られた細胞は全てα-SMAが陽性、あるいはビメンチンが陽性である間葉系細胞だった。いずれの場合も同様の結果だった.そこで次に、培養液に腸管上皮細胞の増殖に有利になるようにEpidermal Growth Factor(EGF)、WntのアンタコニストであるRoof-plate-specific Spondin-1(R-Spondin)そして、ROCK inhibitorを加えて上記の方法と同様にCD1マウス小腸より培養を行った。結果、サイトケラチン陽性でEカドヘリン陽性の細胞数が無添加の場合と比較して増加していた。この細胞群を限界希釈法にてクローニング中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス小腸上皮細胞の培養法の確立を目指し様々な培養条件を検討している。未だ上皮細胞株の樹立は達成出来ていないが、培養液へのサイトカイン数種の添加による条件検討により進展してきている。
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今後の研究の推進方策 |
現時、進行中の培養条件下による上皮細胞群をクローニングし、早急にマウス腸管上皮細胞を樹立する。また今後、コラーゲンゲル、マトリゲル等の基質上でのオルガノイド培養も進める予定である。細胞株が樹立出来たら、歯周病原因菌または各種細菌由来抗原(LPS,Lipid A、muramyl dipeptide、lipoteichoic acid等)を細胞に曝露しdefensin family遺伝子発現 Toll様受容体(TLR)遺伝子発現を解析する。手法としては、細胞よりtotalRNAを抽出後、リアルタイムPCR法で各遺伝子発現量を解析する。
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