歯は歯種ごとに固有の形態があって、咬合や咀嚼において重要であり、遺伝的に決定されているが、歯胚の細胞による形づくりの実態は未だに不明の点が多い。本研究では、申請者らが開発したTDL培養(Three Dimensional & Layered culture)法とビーズ法を組み合わせて歯胚の上皮細胞と間葉細胞を個別に操作し、細胞増殖や分化を局所的に促進または停止させて、咬合面の凹凸形成のメカニズムを検証する。 本年度は、TDL培養のパーツとなる上皮成分の摘出・調整法の改善に大きな成果があった。この改善によって、新しい手法が構築できる見通しができ、急遽、その確立に時間を割いた。このため、計画調書の案とは異なる進行となったが、ほぼ実用段階まで到達した。また、培養下における細胞マーカーの不足があったため、マーカー発現の精密な比較研究を行った(解剖学会2011)。 次年度では、この新しい培養法、マーカーの成果をもとに、咬頭や溝のような凹凸構造の形成メカニズムの解析をさらに進める予定である。
|