研究概要 |
口腔は多くの異物に曝され,体内に侵入してくる細菌の最初の門戸となる.この口腔細菌叢解析を高精度に行い,どのように口腔微生物環境の恒常性が維持されているのかのメカニズムを明らかとすることを目的とする.口腔環境は複雑かつ変動が大きく,細菌種,特に古細菌については,正確なデータは存在しない.そこで,健常な口腔細菌叢と,う蝕,歯周病時の細菌叢との比較解析から,各状態に特異的な構成種を明らかとし,そのなかでも重要な役割を果たすと考えられる種についてはゲノム解析をすることで細菌叢による口腔恒常性維持機構の解明を目指した。その結果、10歳程度の子供では、すでに細菌叢は、大人と変わらない状態であることが判明した。その一方で、単離株のゲノム解析を行った結果、細菌の獲得免疫機構であるCRISPRが口腔というニッチにおいて、細菌の生存に極めて重要であることがわかった。これらの知見は、引き続くメタゲノム解析の基盤となるものである。
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