【研究の目的】機械的刺激による骨形成促進機構へのWnt/βカテニンシグナルの関与について解明を進めることで、骨粗鬆症などの骨量減少疾患の治療の開発や、矯正治療の改善などに貢献することを目的とする。 【平成22年度の研究実施計画と成果】 (1)反復的伸展刺激装置の開発 →反復刺激装置を北村先生の協力を得て作成し、縫合部に反復的伸展刺激を加え、RNAを抽出した。 しかし、採取したRNA量が解析にはまだ不十分な量しか採れていない段階で、装置が故障し、修理を行っている段階である。刺激の頻度、伸展力の強さなどの検討がまだこれからなされなければならない。しかし、反復的に伸展することはできそうな手応えを得ている。 (2)反復的あるいは持続的伸展刺激による頭頂骨縫合部細胞におけるβカテニンの経時的局在変化の検索。 →GFP標識したβカテニンを発現させるアデノウィルスベクターを作成し、縫合部組織に一部発現させることに成功した。しかしながら、発現頻度がまだとても少なく、伸展刺激による変化を観察できる段階には至っていない。 (3)インテグリンの阻害実験:RGD蛋白によってインテグリンからのシグナルをブロックする。 →交付が10月末からであったため、上記の実験までで本実験には至っていない。 【平成22年度の成果の意義と今後】 発表にいたる成果は上げられなかったが、反復刺激装置の開発や、組織内でのβカテニン遺伝子の強制発現など、本研究の基礎的な方法の開発に挑戦したという意義がある。実際に実験してみたことで、新たな課題や可能性が見えてきた。今後、装置については開発をすすめ、反復刺激を安定して与えられる実験系を確立したい。組織内での遺伝子強制発現は、以下に高濃度のアデノウィスルベクターを作成し、深部まで感染させるかという点が大きな課題として残されている。
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