研究課題
顎顔面領域の慢性疼痛を訴える患者の診察にあたって、疼痛の感受部位と疼痛の発生源とが異なる状態に出くわすことは少なくない。このような異所性疼痛の状態は歯科医が鑑別診断を行おうとする際の大きな障壁となりうる。最近の研究では、中枢神経において星状膠細胞と小膠細胞が神経因性疼痛に関与していると報告されている。研究代表者は、咬筋炎症時に三叉神経脊髄路核の神経膠細胞が活性化し、星状膠細胞から分泌されるIL-1betaが慢性疼痛に深く関与していることを示した。しかし、星状膠細胞が活性化されるメカニズムについては解明されていない。隣り合う細胞をつなぎ分子を通過させる細胞間結合としてgap junction(GP)がある。神経膠細胞間でGPを形成していることが知られており、その機能については不明であるものの、神経膠細胞がGPを介して活性化される可能性がある。本研究はギャップ結合と炎症性サイトカインに注目した新たな鎮痛療法を模索するものである。
2: おおむね順調に進展している
最初に考えた仮説が的確であり、また抗体等の実験試薬が優れているため、実験が順調に進展している。
顎顔面領域における慢性疼痛には、異所性疼痛のみならず多様な症状が存在する。新たに上顎神経損傷モデルを追加することにより、さらに多様な慢性疼痛の解明を押し進める。
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Stem Cells
ページ: 1294-303
European Journal of Pain
巻: 15 ページ: e1-14
DOI:10.1016/j.ejpain.2010.10.006