研究概要 |
ラット疼痛モデルに骨髄間質細胞を尾静脈より移殖すると病態痛が緩和され、この効果は22週まで持続した。一方、骨髄間質細胞移植後1-5週において、末梢中枢性に作用するオピオイド受容体拮抗薬naloxone hydrochlorideを投与すると骨髄間質細胞移植による鎮痛効果は減弱した。末梢性に作用するオピオイド受容体拮抗naloxone methiodideを投与すると、骨髄間質細胞移植後3週以内では鎮痛効果は減弱が認められたが、3週以後では鎮痛効果の減弱は認められなかった。骨髄間質細胞移植による鎮痛効果は、末梢と中枢のオピオイド受容体が関与することが明らかとなった(Guo, Watanabe et al. Stem cells 2011)。眼窩下神経傷害後に、三叉神経脊髄路核において活性化した小膠細胞に P2X7受容体が強発現した。 眼窩下神経絞扼後の神経因性疼痛とTNF-αは発現亢進は、 P2X7受容体拮抗薬、p38 MAPKリン酸化阻害薬により抑制された。小膠細胞に発現するP2X7受容体にリガンドが結合することによりp38 MAPKがリン酸化しTNF-αの放出され、顎顔面領域における神経因性疼痛を発生していることが明らかとなった(Ito, Watanabe et al. European J Pain 2013)。ラットのオトガイ神経を切断後、小膠細胞の6週にも及ぶ長期にわたる活性が確認された。小膠細胞に発現するP2X7、p-p38, 及びTNF-α は6週にも及ぶ長期にわたり増加した。P2X7受容拮抗薬により、p-p38・TNF-αの増加と異所性疼痛が抑制された。小膠細胞が放出するTNF-αは, 異所性疼痛の発生初期だけでなくその慢性期にも関与していることが示された(Murasaki, Watanabe et al.J Dent Res 2013) 。
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