研究課題
バイオフィルム感染症は慢性化しやすく、難治性であることから、臨床上しばしば問題となる。これまで、バイオフィルムに対し、抗菌薬を用いても充分な効果が得られない原因について、バイオフィルムによるバリヤー効果のため、内部まで薬剤が浸透しないためであると考えられていたが、最近の知見では、内部にまで到達していることが報告されている。そこで、新たなメカニズムとして、抗菌薬抵抗性が注目されているものの、その詳細はほとんど明らかになっていない。申請者らはバイオフィルム形成菌での抗菌薬抵抗性メカニズムを明らかにするために、平成22年度より2年間で約7500株のトランスポゾン変異株のライブラリーを作成し、抵抗性に関与する遺伝子を網羅的に解析してきた。その結果、合計11株の抵抗性の有意に低下した株を見出すことが出来た。トランスポゾン挿入部位の決定を行い、それらの遺伝子を決定したところ、終的に9個の遺伝子が、バイフィルム形成菌での、抗菌薬抵抗性に関する遺伝子であることが明らかとなった。これらの中には2成分制御系に関連する遺伝子が2個含まれていた。また、これらの遺伝子が、バイオフィルム形成菌のみで抵抗性に関与しているのか、浮遊菌や付着菌での抵抗性に関与しているのかを検討したところ、浮遊菌での抵抗性に関与しているものは無かった。また付着菌での抵抗性に関与している遺伝子が2個存在していた。以上の結果から、バイオフィルム形成菌での抗菌薬抵抗性に関与する遺伝子を8個見出し、その内の2つは付着菌での抵抗性にも関与している事が明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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