研究課題/領域番号 |
22592041
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
植村 正憲 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (00034215)
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研究分担者 |
山中 淳之 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (80343367)
薗村 潰弘 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (40347092)
岩井 治樹 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (30452949)
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キーワード | 味覚 / 報酬系 / 線条体 / 視床 / 神経科学 / 歯科 / 扁桃体 / 黒質 |
研究概要 |
近年、脳科学研究分野では、学習・記憶を扱う研究が盛んに行われ、その実験のなかで、餌やジュースといった味覚に訴える報酬を与えることで、動物を訓練し成果を挙げていることが多い。これは多くの動物たちの味覚という感覚が高次レベルで認識され、学習されたことにより、我々の要求する行動を実行している証である。しかし、その行動を起こすモチベーションの大元である味覚における高次機能の研究はあまり進展していないのが実情である。 本研究室ではこれまでいくつかの味覚の高次神経回路を探索してきた。その過程で、視床後内側腹側核小細胞部から扁桃体・線条体移行領域への投射が多数みられることを新たに見いだした。線条体は、近年は報酬に深く関わる「強化学習」の中枢として注目を集めており、ここに多量の味覚情報が入り込んでいることは味覚を伝える神経回路は、直接的に報酬系神経回路と何らかの連絡している可能性が高いと考えられる。そこで、本研究では味覚回路をより高次に探求することにより、形態学的に報酬系神経回路に迫ることで「味覚」という一つの感覚とそれによる強化学習のモデルを確立することを目的として研究を開始した。 平成22年度は、視床後内側腹側核小細胞部から扁桃体・線条体移行領域への投射をさらに詳細に解析し、形態学的な味覚神経回路の裏付け作業を行った。この中で、単純に味覚神経回路側からの形態学的研究のみで、報酬系神経回路に迫るにはいくつかの壁があることが認められることから、平成23年度には、報酬系神経回路側からも同時にアプローチすること、さらにはよりダイナミックな状態で味覚神経回路網と報酬系神経回路網の相互関係を確かめるために、機能に裏付けられた形態学的手法を新たに導入することを計画している。
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