破骨細胞の分化さらに骨吸収能の特徴を再現できる破骨細胞前駆細胞株4B12細胞を用い、破骨細胞の分化における内因性Wntシグナルの役割を解析した。M-CSFとsRANKLで刺激するとβ-cateninの核への移行が認められ、β-catenin遺伝子をsiRNAでノックダウンすると破骨細胞の多核化とDC-STAMPの遺伝子発現が抑制された。M-CSFとsRANKL添加2日目から2日間のGSK-3β阻害剤によるβ-catenin分解阻止は、破骨細胞の多核化とDC-STAMPの遺伝子発現を促進させた。M-CSFとsRANKL刺激後1日目で核内へのTCF1とTCF4の移行が増加したが、2日目以降徐々に減少した。核内のβ-cateninとTCF1またはTCF4との結合がCo-IP assayで確認された。M-CSFとRANKL刺激3日目でDC-STAMPプロモーター-189から-38領域へのNFATc1のリクルートがChip assayで確認された。β-catenin、TCF1、TCF4は2日目ですでにこの領域へリクルートされていた。また、-560から-356の領域では2日目でβ-cateninとTCF4が、3日目でβ-catenin、TCF1、TCF4がリクルートされていた。両刺激でWnt6とWnt2bの発現が認められ、siWnt6によるノックダウンで核内のβ-cateninとTCF4の量が、 siWnt2bではTCF1の量が減少した。更に、DC-STAMPの発現と破骨細胞の多核化もそれぞれ抑制された。以上より、M-CSFとsRANKL刺激よって破骨細胞前駆細胞から誘導産生されてくるWnt6とWnt2bが、β-catenin、TCF4 そしてTCF1の核内移行を促進し、DC-STAMP遺伝子発現と破骨細胞の多核化を調節しているオートクライン因子として機能していることが明らかとなった。
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