研究課題/領域番号 |
22592052
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
春原 正隆 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (70287770)
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研究分担者 |
大西 和夫 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究員 (90169011)
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キーワード | 歯胚 / 歯髄 / TPO / c-Mpl |
研究概要 |
本研究は、歯髄幹細胞および幹細胞ニッチ相互間における時空的(spatiotemporal)なWnt シグナル制御機構の解明を基盤とし、TPO/MPLシグナル、NotchシグナルおよびAng1/Tie2シグナルとの相互作用の分子機構を明らかにすることにより、歯髄再生の臨床応用の可能性を詳細に検討することを目的とする。 免疫染色法による各種蛋白発現解析:前年度、胎生10.5日から18.5日齢のマウス胎児を用いて、歯胚領域におけるTPO/MPLシグナルに関与する蛋白の発現状況に関して経時的な解析を行ったが、c-Mplの発現は確認出来なかった。本年度は、染色法にさらなる工夫を加え、他種のc-Mpl抗体も併用しc-Mpl発現状況の解析を行ったが発現を確認することは出来なかった。今後の方針としては、新規c-Mpl抗体を入手し染色を行い、経時的発現状況を比較検討することが必要であると考えられた。 in situ hybridization法による遺伝子発現解析:マウスの歯胚領域におけるTPO/MPLシグナル関連遺伝子発現状況に関する経時的解析を行うため、本年度は、TPO/MPLシグナル関連遺伝子のアンチセンスプローブおよびセンスプローブの作製を行い、ポジティブコントロール及びネガティブコントロールを用いて作製したプロープが正常にworkすること確認した。そこでin situ hybridization法により、経時的にTPO/MPLシグナル関連遺伝子発現状況の解析を行った結果、時期特異的に発現が認められたため、TPO/MPLシグナルが、歯胚発生過程において重要な役割を果たす可能性が示唆された。 本研究により、歯髄における高次血管構築制御機構の基盤となる分子機構解明の一助となることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎生10.5日から18.5日齢のマウス胎児を用いて、免疫染色法により、歯胚領域におけるTPO/MPLシグナルに関与する蛋白の発現状況に関して経時的に詳細な解析を行った。c-Mplの発現に関しては、市販されている抗体を用いての解析が困難であり、明瞭な陽性反応を得るために、新規抗体を入手して染色を行うか、もしくは染色法にさらなる工夫が必要であると考えられた。in situ hybridizationによる遺伝子発現解析では、時期特異的にTPO/MPLシグナル関連遺伝子の発現が認められた。以上より、胎生期歯胚発生過程において、TPO/MPLシグナルが関与してる可能性が示されたため、「研究の目的」の達成度に関してはおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
in situ hybridization法により、TPO/MPLシグナル関連遺伝子の経時的発現状況の解析を行った結果、時期特異的に発現が認められる遺伝子を確認した。従って、今後歯胚領域において、継続してTPO/MPLシグナル関連遺伝子および蛋白の発現状況について解析を行う必要があると考えられる。 本研究により、歯髄における高次血管構築制御機構の基盤となる分子機構解明の一助となることが期待される。
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