研究課題/領域番号 |
22592052
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
春原 正隆 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (70287770)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歯 胚 / 歯 髄 / TPO / c-Mpl |
研究概要 |
本研究は、歯髄幹細胞および幹細胞ニッチ相互間における時空的(spatiotemporal) なWntシグナル制御機構の解明を基盤とし、歯髄発生過程における TPO/MPL シグナル、Notch シグナルおよびAng1/Tie2 シグナルの相互作用分子間メカニズムを明らかにすることにより、歯髄再生の臨床応用の可能性を詳細に検討することを目的とする。 in situ hybridization法による遺伝子発現解析:マウスの歯胚領域におけるTPO/MPLシグナル関連遺伝子発現状況に関する経時的な解析を行うため、前年度作製したTPO/MPLシグナル関連遺伝子のアンチセンスプローブおよびセンスプローブが正常にworkすること確認している。本年度はこのプローブを用いたin situ hybridization法により、経時的にTPO/MPLシグナル関連遺伝子発現状況の解析を行った結果、時期特異的に発現が認められたものの、シグナルの発現が認められても局在性が不明瞭な時期が存在するため、条件検討を再度行い、経時的発現状況の解析を継続して行う必要があると考えられる。 不明瞭ながらもシグナルの発現が認められたことから、TPO/MPLシグナルが歯髄発生過程において重要な役割を果たす可能性が示唆された。 免疫染色法による各種蛋白発現解析:昨年度に引き続き胎生11.5 日から18.5 日齢のマウス胎児を用いて、歯胚領域におけるTPO/MPLシグナルに関与する蛋白発現状況に関して経時的な解析を行った。本年度は、染色法に改良を加え、他種のc-Mpl抗体も併用しc-Mpl発現状況の解析を行ったが発現は認められなかった。今後の方針としては、新規c-Mpl抗体を入手し再度免疫染色を行い、c-Mplの経時的発現状況を解析することが必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(理由)胎生11.5日から18.5日齢のマウス胎児を用いて、正常にworkすること確認済みのTPO/MPLシグナル関連遺伝子プローブを用いたin situ hybridization 法により、経時的発現状況の解析を行った結果、時期特異的にシグナルの発現が認められた。シグナルの局在が不明瞭なステージが存在するため再度条件検討を行い解析の精度を上げる必要があると考えられる。他方、TPO/MPLシグナル関与蛋白の発現状況に関して、条件検討を再度行い経時的に詳細な解析を行ったが、シグナルの発現は認められず、入手可能な抗体を用いての解析が困難であり、明瞭な陽性反応を得るために、新規抗体を入手して染色を行うか、もしくは染色法にさらなる工夫が必要であると考えられた。以上より、胎生期歯髄発生過程において、in situ hybridization 法による解析の結果TPO/MPLシグナルが関与してる可能性が示されたものの、TPO/MPLシグナル関与蛋白の発現に関しては確認出来なかったことから、「研究の目的」の達成度に関してはやや遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
in situ hybridization法により、経時的にTPO/MPLシグナル関連遺伝子発現状況の解析を行った結果、時期特異的に発現が認められたものの、局在性が不明瞭な時期が存在するため、条件検討を再度行い継続して経時的発現状況の解析を行う必要があると考えられる。 TPO/MPLシグナル関連蛋白の発現状況に関しては、入手出来る抗体を用いての解析が困難であり、明瞭な陽性反応を得るために、新規抗体を入手して染色を行うか、もしくは染色法にさらなる工夫が必要であると考えられる。 今後は上記解析結果をふまえて、Notch シグナルおよびAng1/Tie2 シグナルとの相互作用を検討する必要があると考えられる。 本研究により、歯髄における高次血管構築制御機構の基盤となる分子機構解明の一助となることが期待される。
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